2023年3月

本レポートは、CCCMKHDがT会員にサービス提供している家計簿アプリ「レシーカ」ユーザー(約5万人)のレシートデータと、CCCマーケティング総合研究所による全国主要企業へのヒアリング調査に基づき、独自の視点で「食」業態を中心としたレポートをお届けします。

鮮度を活かした惣菜にこそ活路
 コロナ禍により内食が拡大し、スーパーマーケットは堅調な業績で推移してきましたが、徐々に流動拡大が進み、外食・中食の利用が回復してきているのがここ数か月の動きです。この数か月でマスク解禁の動きが加速し、価格面では食品ジャンルの値上げが断続的に続き、内食・中食・外食のシェアは綱引きがより活発化しています。
 スーパーマーケットは生鮮三品が中心商材で、この売り上げが業績に直結することは言うまでもありませんが、23年に入ってから肉類は利用回復傾向にあるものの、青果・水産品の利用は厳しい状況が続いています。中でも水産品は燃料費や養殖飼料などの高騰影響から価格が上昇している影響が利用にも暗い影を落としています。コロナ禍においては安定した需要を見せていた刺身類も価格上昇が進む中で利用が鈍化し、鮮魚においては価格の影響が顕著になっていると言えそうです。
 全体にスーパーマーケットの水産品の動きが鈍化する一方で、デパートの鮮魚コーナーや“日本一の魚屋”と言われる「角上魚類」などは好調な売り上げを示しており、水産品の不振が言われる中でも活況を呈し、好業績を収めている動きもあり注目されます。
 多くの水産品が売り上げを落とす中で好調な数字を維持している鮮魚売り場を見ると、売り場内に設けられている惣菜品コーナーが好調の要因となっています。これらの惣菜コーナーでは店内加工を行っていることが多く、鮮魚のロス対策としても有効な打ち手になっています。鮮度を活かし、最適な調理法で提供される惣菜はコストパフォーマンスも高く、売り上げ、集客の面で大きく貢献しているようです。直近のスーパーマーケットの動きをみると、惣菜の売り上げ比率が高いスーパーマーケットの方が業績安定しており、生鮮三品の売り上げも堅調に推移している傾向にある点は注目されます。
 スーパーマーケットは内食を支える業態ですが、生鮮三品を活用し、毎日調理している家庭の割合はごくわずかにとどまるのが実際のところです。売り上げの安定性を確保するためには惣菜・中食品とのバランスこそ重要なポイントになっていることは言うまでもありません。一方で中食・惣菜はコンビニエンスストアやデパ地下などが強い市場であり、スーパーマーケットはすみわけの視点から競合性を回避してきた傾向もありますが、この1年の動きをみると惣菜・中食領域の強化は不可欠な状況となっています。
 生鮮三品は一定のロスが生じますが、このロスを抑制し、“鮮度”を武器にした惣菜展開はコンビニエンスストアが最も競争しにくいフィールドでもあります。生鮮三品を活用した惣菜強化は今後のスーパーマーケットの生命線と言える取り組みとなってくるのは間違いなさそうです。





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※レシーカとは、CCCMKホールディングス株式会社がT会員に提供する家計簿アプリ。
レシーカユーザー(約5万人)のレシートデータを分析することができる。


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CCCマーケティング総合研究所
担当:奥田